尖閣諸島沖で中国船籍が海上保安庁の船に体当たりを行う映像が動画サイトYouTubeに流出した問題で、マスコミの間に波紋が広がっている。
岡崎市立図書館冤罪事件のスクープで知られる朝日新聞名古屋支社の神田記者は、「記者として、やはり内部告発は報道機関を通してほしい、ツールとして使ってほしい、と思う。記者や報道機関にとって取材源の秘匿は絶対原則で、これを守ることは徹底して教育されている。捜査機関の取り調べを受けようが、明かすことは絶対にない。押収されるような証拠を残さないノウハウもある。」とTwitterで述べた。
しかし神田記者には朝日新聞のバイアスがかけられるのではないか、動画を受け取ったとして全編が公開されるのか、スポンサーの影響を受けるのではないかといった意見がTwitterで寄せられた。
毎日新聞の与良論説副委員長は、週刊誌が政局を動かした事例と比較し、ネットという媒体が大きな影響を与えるようになったと分析。
「なぜ新聞にたれ込んでくれないのか」と悔しさをにじませながらも、「これを機に政府が(あの中国のように)ネット規制に乗り出すようなことがあれば、私は断固反対するだろう。」と警戒した。
新聞記者はスクープが欲しい、だから情報源を必死で守ってくれる。
YouTubeは守ってくれないが、バイアスをかけられることもない。
ラ王CM強行撮影事件の報道を見ると、朝日新聞はスポンサーの影響を受けていないようだが、テレビでの扱いは非常に小さかった。
今回のビデオ流出事件はネットの台頭によるマスコミの相対的な地位の低下、あるいはマスコミに対する不信感も浮き彫りにしたといえるだろう。