「命を粗末になさるな、生きられよ」

「永遠の0」の主役に特攻を否定させるようなセリフを喋らせて始まった大河ドラマ「軍師官兵衛」
改めて見なおしてみると、全編に渡ってNHK経営委員である百田尚樹さんに対する批判が繰り返されているのですね。

兵站補給を絶たれ、四面楚歌の北条家は即ち旧日本軍。
ABCD包囲網に石油を絶たれ、英米露中に囲まれてもなお、敗北を認めようとしない旧日本軍の姿に重なるわけです。
賢明な北条氏政は自らの首で城兵の命を救ったわけですが、愚かな日本軍は特攻作戦のみならず民間人をも犠牲にして戦いを続けたのは御存知の通り。

そもそも黒田官兵衛は、兵站すなわち兵員物資の輸送展開を重視して勝ち続けた武将。
相手の補給を絶って勝利した、三木の干殺し、鳥取の渇え殺し、高松城の水攻め。
岡山から京都まで大軍団を短時間で移動させた中国大返し。
敗北したのは、逆に兵站を絶たれた文禄・慶長の役

そう、中国を相手にした戦争で兵站を絶たれて負けているのですね。
戦前のプロパガンダでは加藤清正や真田幸村といった豊臣家の家臣が忠臣として賛美されました。
真田幸村は大阪の陣で家康の陣に突撃、それなりのダメージを与えたものの、結果としては何の戦果もない犬死に。
豊臣家を手本とした旧日本軍も、特攻からの主家滅亡という流れを踏襲したのですが、何故同じ過ちを繰り返したのか理解に苦しみます。

軍師官兵衛の後半、秀吉の後妻が夫の威光を傘に来て横暴に振る舞って人心が離れ、全てを失うという展開になりますが、これは百田さんの某ノンフィクションのようでもあり。
ドラマで大阪城が燃えると同時に現実でも百田さんが炎上したのは、もはや運命のいたずらというよりも歴史の必然というべきなのでしょう。

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