すき家を運営するゼンショーが試算したところによると、強盗の対策費は7億円かかるとのこと。

「すき家」防犯強化によるコスト増は7億円と試算 MSN産経

昨年すき家に入った強盗は58件、今年は9月までに63件なので、だいたい70件として7億を割ると対策費は強盗1件あたり1000万円。
逆に言えば、1000万円以上盗られなければ対策を取らない方が得なわけで、ゼンショーは批判に晒されても、あえて対策を取らずに来たわけです。

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山田 真哉
光文社 2007-04-17

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一般的な常識で考えれば、いくら対策を取らない方が得だとわかっていても、モラルとか評判とかありますから、防犯対策を取るわけです。
しかしゼンショーはアルバイトと業務委託契約を結んでいると裁判で主張するブラック企業。
失う評判というものは、もともと存在しないのです。
また、これだけ強盗に入られていれば客も敬遠しようなものですが、元々の客層が低質で多少危険でも安けりゃいいという人たちが多いため、客離れには至っていないと考えるべきでしょう。

ここまで見てきた所では、コストダウンを図りたいすき家、安い牛丼を食べたい客、そして強盗と、三者の利害が一致しているWinWinWinの状態にあると言えます。
しかし一方、すき家によって損失を受ける人達がいます。
警察と付近の住民です。

警察は犯罪を取り締まるのが仕事なので、ゼンショーが防犯対策にコストをかけないことによって犯罪発生率、それも強盗という凶悪な犯罪が増加すると大変困ります。
たくさんの時間やたくさんの経費をかけて、捜査しなければいけません。
もちろん警察の経費や給与は住民(国民)の税金から支払われています。
ゼンショーは間接的に、あなたのお金を盗んでいるのです。



また、犯罪が増えている地域は衰退します。
アメリカのデトロイトが顕著な例ですが、犯罪が多い地域は人や企業が寄り付かないため、地価の下落や更なる犯罪の増加を招きます。
すき家強盗がレベルアップして他の犯罪に手を染めるケースも増加しています。
犯罪は犯罪の種なのです。

すき家強盗だけで大きく治安が低下することはないと考える人もいるでしょう。
しかし他の会社もゼンショーを真似して防犯に対するコストを削り始めたら、大変なことになってしまいます。
そうしたモラルハザードを避けるため、警察はゼンショーに対して厳しく指導しているのです。


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